エジプト旅行を計画する際、「イスラム教の国だから、お酒は飲めないのだろうか？」という疑問を持つ方は少なくありません。壮大な古代遺跡や活気あふれる市場のイメージはあっても、現地の飲酒事情については意外と知られていないのが実情です。しかし、実際にはエジプトには独自の酒文化が存在し、特定の条件下で楽しむことが可能です。
この記事では、エジプトにおけるお酒のルールから、現地で親しまれているビールの銘柄、ワインの歴史、そしてどこでお酒を手に入れることができるのかまで、網羅的に解説します。これを読めば、エジプトでのお酒に関する疑問が解消され、より深く旅の計画を立てられるようになるでしょう。
この記事を読んでわかること
- エジプトの飲酒に関する法律や社会的なルール
- エジプトを代表する国産ビールやワイン、伝統的な蒸留酒の種類と特徴
- お酒を購入できる具体的な場所（酒店、スーパー、レストランなど）
- ラマダン（断食月）期間中のお酒の取り扱いに関する特別な注意点
エジプトの飲酒ルールと基本情報
イスラム教を国教とするエジプトでは、お酒に対して日本とは異なる考え方やルールが存在します。トラブルを避け、現地の文化を尊重しながら滞在を楽しむために、まずは基本的な情報を理解しておくことが不可欠です。
イスラム教国におけるお酒の位置づけ
イスラム教の教えでは、飲酒は原則として禁じられています。そのため、多くのエジプト国民（イスラム教徒）はお酒を飲みません。しかし、エジプトはコプト教徒などの非イスラム教徒の国民もおり、また世界中から観光客が訪れる国です。そのため、法律で全面的に飲酒が禁止されているわけではなく、外国人観光客や非イスラム教徒向けに、飲酒が許可された環境が提供されています。重要なのは、飲酒は「誰でもどこでも自由にできるわけではない」という認識を持つことです。
お酒が飲める場所・飲めない場所
エジプトでお酒を飲むことができるのは、主にライセンスを取得した場所に限られます。具体的には、外国人観光客が利用するホテル内のレストランやバー、観光客向けのレストラン、そして一部のバーなどが挙げられます。これらの場所では、国産ビールやワイン、輸入されたお酒などを楽しむことができます。一方で、公共の場所、例えば公園や路上での飲酒は法律で固く禁じられています。違反した場合は罰則の対象となる可能性もあるため、絶対に避けるべきです。
ラマダン期間中の特別な注意点
イスラム教徒にとって神聖な断食月である「ラマダン」の期間中は、お酒の取り扱いが通常期よりもさらに厳しくなります。ラマダンは、イスラム暦（ヒジュラ暦）に基づいており、太陽暦では毎年約11日ずつ時期が早まります。そのため、旅行を計画する際は該当年月のラマダン期間を確認することが重要です。
参考として、近年のラマダン期間は以下の通りです。
- 2025年：おおよそ2月28日頃～3月29日頃
- 2026年：おおよそ2月18日頃～3月19日頃
これらの日付は新月の観測によって最終決定されるため、1日ほど前後する可能性があります。この神聖な期間中、日中の飲食を断つ習慣に伴い、多くのレストランでは終日アルコールの提供を停止します。一部の高級ホテルや外国人向けの施設では提供が続けられることもありますが、その数は大幅に減少します。また、酒店も営業時間を短縮したり、休業したりすることが一般的です。この時期にエジプトを訪れる場合は、お酒の入手が通常期より困難になることを念頭に置いておく必要があります。
これを飲みたい！エジプトで楽しめるお酒の種類と購入方法
エジプトには、実は長い歴史を持つ独自の酒文化があります。特にビールとワインは国内で生産されており、旅行者にとっても手軽に楽しめる存在です。ここでは、エジプトで人気のお酒の種類と、それらを購入できる場所について詳しく見ていきましょう。
国民的ビールの二大巨頭「ステラ」と「サッカラ」
エジプトのビールといえば、まず名前が挙がるのが「ステラ（Stella）」と「サッカラ（Sakara）」です。これらはエジプト国内で最もポピュラーなビールであり、多くのレストランやバーで提供されています。 「ステラ」は、1世紀以上の歴史を持つ老舗ブランドで、すっきりとした喉ごしと軽い口当たりが特徴のラガービールです。赤い星のマークが目印で、エジプトの暑い気候によく合います。 一方、「サッカラ」は比較的新しいブランドですが、ステラと人気を二分する存在です。アルコール度数が少し高めのゴールドと、標準的なキングがあり、よりしっかりとした味わいが楽しめます。
知られざるエジプトワインの世界
ビールのイメージが強いエジプトですが、実はワイン造りの歴史は古く、古代エジプトの壁画にもブドウの収穫やワイン造りの様子が描かれています。現代のエジプトでも国内でワインが生産されており、「オベリスク（Obelisk）」や「アヤム（Ayam）」といったブランドが知られています。赤、白、ロゼと種類も揃っており、観光地のレストランで楽しむことができます。品質は様々ですが、エジプトの地で育ったブドウから造られるワインを試すことは、ユニークな食文化の発見につながるでしょう。
現地のお酒が買える場所「Drinkies」とスーパーマーケット
レストランやバーで飲む以外に、個人でお酒を購入することも可能です。最も有名なのが、「Drinkies」という名前のチェーン展開している酒屋です。ここではエジプト国産のビールやワイン、一部の輸入酒まで幅広く取り扱っています。購入の際にパスポートなど身分証明書の提示を求められることがあります。 また、店舗は限られますが、一部の大型スーパーマーケットでも酒類を販売しているコーナーが設けられている場合があります。ただし、一般的な商店や小さなスーパーではお酒は一切販売されていないため、注意が必要です。
まとめ
エジプト旅行におけるお酒の楽しみ方について、ルールから具体的な種類、購入場所まで解説しました。記事全体の要点を以下に箇条書きでまとめます。
- エジプトはイスラム教国ですが、外国人観光客や非イスラム教徒向けの飲酒は可能です。
- 公共の場所（路上や公園など）での飲酒は法律で禁止されています。
- 飲酒が許可されているのは、ライセンスを持つホテル、レストラン、バーなどに限られます。
- イスラム教徒にお酒を強要する行為は絶対に避けるべきです。
- ラマダン（断食月）の期間中は、アルコールを提供する場所が大幅に制限されます。
- ラマダンの時期は毎年約11日ずつ早まり、2025年は2月末頃、2026年は2月中旬頃から始まる見込みです。
- エジプトで最もポピュラーなビールは「ステラ（Stella）」です。
- 「ステラ」は100年以上の歴史を持つラガービールで、すっきりとした味わいが特徴です。
- 「サッカラ（Sakara）」は「ステラ」と人気を二分する国産ビールです。
- 「サッカラ」にはゴールドとキングの2種類があり、味わいが異なります。
- エジプトには古代から続くワイン造りの歴史があります。
- 現代でも「オベリスク」や「アヤム」といった国産ワインが生産されています。
- エジプトワインには赤、白、ロゼがあり、レストランで楽しめます。
- 「ザビーブ（Zibib）」はアニス風味の伝統的な蒸留酒で、アルコール度数が非常に高いです。
- お酒をボトルで購入する場合、「Drinkies」というチェーンの酒屋が最も一般的です。
- 「Drinkies」では国産ビール、ワイン、一部の輸入酒を取り扱っています。
- 酒屋での購入時には、パスポートの提示を求められることがあります。
- 一部の大型スーパーマーケットでも酒類販売コーナーが設けられている場合があります。
- 空港の免税店でもお酒を購入でき、日本への持ち込みも可能です。
- エジプトのお酒事情を正しく理解し、ルールを守ることが文化を尊重する上で重要です。
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