エジプト旅行の成否を分けると言っても過言ではないのが、現地での移動手段の確保です。ピラミッドやスフィンクス、壮大な神殿群など、エジプトには魅力的な観光スポットが数多く存在しますが、それらを結ぶ公共交通機関は旅行者にとって決して使いやすいものではありません。そのため、多くの場面でタクシーを利用することになりますが、そこには「ぼったくり」や「トラブル」のリスクが常につきまといます。
2026年現在、インフレによる物価上昇や配車アプリの進化により、エジプトの交通事情は劇的に変化しています。古いガイドブックや数年前のブログ情報のまま現地に向かうと、想定外の出費やトラブルに巻き込まれる可能性が高まっています。本記事では、エジプト旅行を計画している方に向けて、最新のタクシー事情、リアルな料金相場、そして安全に移動するための配車アプリ活用術を解説します。
この記事を読むことでわかること
- Uber、Careem、inDriveなど、2026年現在エジプトで主流となっている配車アプリの特徴と賢い使い分け
- カイロ国際空港から市内やピラミッドエリアへの移動における、最新の適正価格と乗車場所のルール
- 流しの白タクシーや黒タクシーを利用せざるを得ない場合の交渉術と注意すべきトラブル
- 「二重決済詐欺」や「お釣りトラブル」など、近年増加している具体的な手口とその回避策
配車アプリがエジプト移動の常識!主要3社の特徴と使い分け
かつてのエジプト旅行では、タクシー運転手との激しい料金交渉が通過儀礼のようなものでした。しかし、2026年の現在、旅行者にとって最も安全で確実な移動手段は間違いなく配車アプリです。GPSによる追跡、料金の事前提示、相互評価システムにより、トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。ここでは、エジプトで使える主要アプリの特徴を解説します。
Uber(ウーバー)とCareem(カリーム)の信頼性
世界的な知名度を誇るUberは、エジプトでも最も信頼性の高い移動手段の一つです。カイロやアレクサンドリアなどの主要都市をカバーしており、クレジットカード決済がスムーズに行える点が最大のメリットです。現金のやり取りが発生しないため、お釣りのトラブルやお札のすり替え詐欺などを未然に防ぐことができます。
一方、中東地域で圧倒的なシェアを持つCareemも欠かせません。Uberとシステムは似ていますが、Careem独自の強みとして「都市間の長距離移動」や「予約配車」のしやすさが挙げられます。また、通常の専用車だけでなく、メーター制の「White Taxi」をアプリ経由で呼ぶことができる機能もあります。混雑時にはUberとCareemで料金や到着時間が大きく異なることがあるため、両方のアプリをインストールし、状況に応じて使い分けるのが賢明です。
格安移動ならinDrive(インドライブ)とDiDi(ディディ)
近年、バックパッカーや長期滞在者を中心に利用者が急増しているのがinDriveです。このアプリの最大の特徴は、料金が固定ではなく「交渉制」であることです。アプリが推奨価格を提示し、ユーザーが希望額を入力すると、近くのドライバーがそれに応じるか、対案を出してきます。合意した金額で確定するため、渋滞しても料金が上がらない安心感があります。ただし、支払いは現金のみのケースが多く、小銭の用意が必要です。
中国発のDiDiも参入しており、頻繁に割引キャンペーンを行っています。Uberよりも安価に移動できる場合が多いですが、登録ドライバーの質にばらつきがあることも否めません。深夜の利用や女性の一人旅の場合は、セキュリティ基準が比較的厳しいUberやCareemを優先するなど、シーンに応じた使い分けが重要です。
日本出発前の準備と設定の重要性
配車アプリを利用する上で最も重要なのが、初期設定のタイミングです。必ず日本を出発する前にアプリをダウンロードし、SMS認証(電話番号認証)を済ませておく必要があります。現地でSIMカードを入れ替えてから登録しようとすると、認証コードが日本の電話番号に届かず、アカウントが作成できないというトラブルが多発しています。
また、支払い設定は可能な限りクレジットカードにしておくことをお勧めします。ただし、現地のドライバー事情として、即金性を求めて「現金払い」を好む傾向が依然として強くあります。アプリ上はカード決済にしておきつつも、システム障害やドライバーからの強い要望に備えて、常に細かい現金を持っておくという二段構えの対策が必須です。
空港から市内への移動と最新料金相場
エジプトに到着した直後の空港からの移動は、旅行者が最もカモにされやすいタイミングです。長時間のフライトで疲弊しているところを狙い、相場の数倍から十倍の金額をふっかけてくる客引きが後を絶ちません。2026年の最新相場とルールを知っておくことが、自己防衛の第一歩です。
カイロ国際空港のUber乗り場と罠
カイロ国際空港で配車アプリを利用する際、最大の注意点は「乗り場」です。以前はターミナルの出口付近まで車が迎えに来てくれましたが、現在は規制が厳しくなり、一般車の乗り入れが制限されています。アプリで配車を確定させると、多くの場合「駐車場(Parking Area)」がピックアップ場所に指定されます。
到着ロビーを出ると、無数の客引きが「Uber?こっちだ」と声をかけてきますが、彼らは正規のUberドライバーではありません。言葉巧みに自分の車へ誘導しようとする非正規タクシーです。これらは全て無視をし、アプリの地図が示す指定の駐車場まで自力で移動してください。そこには多くのUberやCareemが待機しています。
2026年最新版エリア別料金相場
インフレが続くエジプトでは、ガイドブックに載っている「空港から市内まで150ポンド」といった情報は完全に過去のものです。2026年1月現在の現実的な料金相場は以下の通りです。これより極端に安い提示は、後から追加料金を請求されるリスクがあるため警戒が必要です。
カイロ国際空港から市内中心部(タハリール広場周辺)へは、配車アプリ利用で300エジプトポンドから550エジプトポンド程度が目安です。渋滞状況によってはさらに上がることもあります。 カイロ国際空港からギザのピラミッドエリアへは距離があるため、600エジプトポンドから900エジプトポンド程度を見込んでおく必要があります。
空港公認のリムジンやタクシーを利用する場合は、これよりもさらに高い固定レート(市内まで500〜800ポンド、ピラミッドまで800〜1200ポンド程度)が提示されることが一般的です。安心をお金で買うという意味では選択肢に入りますが、コストを抑えたい場合はアプリ一択となります。
流しのタクシーとトラブル回避の鉄則
アプリが使えない状況や、とっさに移動が必要な場面では、流しのタクシーを利用することもあります。エジプトのタクシーには種類があり、それぞれ対応方法が異なります。
白タクシーと交渉のリアル
カイロ市内でよく見かける白い車体の「白タクシー」は、本来メーター制のタクシーです。しかし、外国人観光客が乗車する場合、メーターを使ってくれることは稀です。たとえメーターが付いていても、「壊れている」「渋滞だから使わない」と言われることがほとんどです。
そのため、流しのタクシーに乗る際は、乗車前に必ず目的地を告げ、料金を交渉して確定させる必要があります。この時、事前に配車アプリでその区間の相場を調べておき、その価格を基準に交渉するのがコツです。相場を知らないまま「いくら?」と聞くのは、相手に高値を提示させる隙を与えることになります。
お釣り詐欺と二重決済の手口
エジプトのタクシー利用で最も多いトラブルが「お釣りがない」と言われるケースです。100ポンド札などの高額紙幣を出すと、ほぼ間違いなくお釣りは返ってきません。これはドライバーにとってはチップ代わりの感覚であり、悪気がない場合も多いのですが、旅行者にとってはストレスの原因となります。タクシーに乗る前には、必ずコンビニなどで水を買い、細かい紙幣を作っておくことが鉄則です。
また、配車アプリ利用時に最近増えているのが「二重決済詐欺」です。アプリ上でクレジットカード決済を選択しているにもかかわらず、目的地到着時にドライバーが「アプリのエラーで決済が完了していない。現金で払ってくれ」と嘘をつく手口です。この場合、その場で現金を払ってしまうと、後でカードからも引き落とされ、二重払いとなります。ドライバーが何を言おうと「アプリで決済されているはずだ」と毅然と断り、もし支払いを強要された場合は、後ほどアプリのサポートセンターに通報して返金手続きを行う覚悟を持つことが重要です。
女性の安全対策とチップの習慣
最後に、安全にタクシーを利用するための基本的なマナーと防犯対策について解説します。
女性のタクシー利用における防犯 女性が一人でタクシーや配車アプリを利用する場合は、必ず後部座席に座ってください。助手席はドライバーとの距離が近く、不要なトラブルを招くリスクがあります。また、乗車中はドアロックがかかっていることを確認し、窓は全開にしないようにします。
Googleマップなどで常に自分の現在地とルートを確認している姿勢を見せることも有効です。ドライバーが明らかに異なるルートを進もうとした場合は、すぐに指摘してください。Uberなどのアプリには「乗車状況を共有する」機能があるため、友人や家族にリアルタイムの位置情報を送っておくと安心です。
チップ(バクシーシ)の考え方 エジプトにはバクシーシ(喜捨)の文化があり、タクシー料金にもチップを含めるのが一般的です。アプリ決済の場合はチップ機能を利用すればスマートですが、現金払いや流しのタクシーの場合は、料金の端数を切り上げるか、10〜20エジプトポンド程度を上乗せして渡すと喜ばれます。
また、トランクに重い荷物を入れてもらった場合などは、別途小額のチップを渡すのがマナーとされています。わずかな金額でドライバーとの関係が良好になり、気持ちよく降車できるのであれば、必要経費と割り切って支払うのが賢い旅のスタイルです。
まとめ
エジプトでのタクシー移動について、2026年の最新事情と重要ポイントをまとめました。
- エジプト移動の基本は、安全性と明朗会計の観点から「配車アプリ」を利用する。
- Uberはクレジットカード決済が可能で、最も信頼性が高い選択肢である。
- Careemは地方都市や予約配車に強く、Uberと併用するのが望ましい。
- inDriveは料金交渉が可能で安価だが、現金払いが主流である。
- アプリは必ず日本出発前にダウンロードし、SMS認証を済ませておく。
- カイロ空港でのUberピックアップ場所は、ターミナル前ではなく指定の駐車場である。
- カイロ空港の到着ロビーで声をかけてくる客引きは全て無視する。
- 2026年現在、空港から市内中心部への相場は300〜550エジプトポンドである。
- 空港からギザのピラミッドエリアへの相場は600〜900エジプトポンドである。
- 流しの「白タクシー」はメーターを使わないことが多いため、乗車前の料金交渉が必須である。
- 交渉時は事前にアプリで相場を確認し、適正価格を把握してから臨む。
- 「お釣りがない」と言われるトラブルを防ぐため、常に小額紙幣を用意しておく。
- アプリ決済済みにも関わらず現金を要求する「二重決済詐欺」に注意する。
- 二重請求された場合は、その場で払わずアプリのサポートに通報するか、証拠を残して後で返金申請する。
- 女性は必ず後部座席に座り、ドアロックを確認して身の安全を確保する。
- Googleマップで常にルートを確認し、遠回りを防ぐ姿勢をドライバーに見せる。
- クレジットカード決済を選択していても、システム障害に備えて現金も携帯する。
- ピラミッドなどの観光地からの帰路は、タクシーがつかまりにくいため早めに配車手配を行う。
- タクシー料金には、端数切り上げや少額のチップ(バクシーシ)を含めるのがマナーである。
- トラブルに遭った際は、大声を出さず毅然とした態度で接し、必要であれば観光警察へ連絡する。
エジプトの交通事情は日本とは大きく異なり、最初は戸惑うことも多いかもしれません。しかし、最新の情報を持ち、適切なアプリと現金を準備しておけば、恐れることはありません。窓の外に流れるナイル川や古代の遺跡を眺めながらの移動は、きっと旅の忘れられない思い出になるはずです。万全の準備をして、素晴らしいエジプトの旅を楽しんできてください。


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