エジプト トイレ事情 完全ガイド

エジプトを訪れる予定のある方にとって、現地のトイレ事情を知ることは旅の準備として欠かせません。ピラミッドやスフィンクスなどの遺跡観光を楽しむためにも、トイレに関する知識は必要不可欠です。この記事では、エジプトのトイレ事情について詳しく解説し、旅行者が知っておくべき情報を網羅的に紹介します。

エジプトのトイレ事情の基本知識

公共トイレの種類と特徴

エジプトの公共トイレは大きく分けて3種類あります。まず観光地にある近代的な有料トイレ、次にショッピングモールやレストランなどの商業施設内のトイレ、そして街中にある一般公共トイレです。

観光地のトイレは比較的清潔に保たれていることが多く、特にルクソールやカイロの主要観光スポットでは、国際観光客向けに整備されています。料金は通常1〜5エジプトポンド(約7〜35円)程度で、トイレットペーパーが提供されることもあります。

商業施設内のトイレは一般的に無料で使用でき、ショッピングモールや高級ホテル、観光客向けレストランではほぼ西洋式の設備が整っています。特に新しいショッピングモールでは、日本の標準に近い清潔さが保たれていることもあります。

一方、一般的な街中の公共トイレは設備や衛生状態にばらつきがあり、トイレットペーパーが常備されていないことが多いので注意が必要です。

トイレの使用料と支払い方法

エジプトでは多くの公共トイレが有料です。観光地のトイレでは、入口に料金表が掲示されていることが一般的で、係員に直接支払うシステムになっています。料金は場所によって異なりますが、1〜5エジプトポンド(約7〜35円)が相場です。

支払いは現地通貨のエジプトポンドで行うのが基本ですが、観光地では少額の米ドルやユーロが受け付けられることもあります。ただし、小銭が返ってこないことが多いので、できるだけ小額の紙幣や硬貨を用意しておくことをお勧めします。

多くの場合、トイレ係員にチップを渡す習慣もあります。これは義務ではありませんが、1〜2エジプトポンド程度のチップを渡すと、トイレットペーパーを多めに渡してもらえるなどの配慮が期待できます。

設備の状況と清潔度

エジプトのトイレ設備は場所によって大きく異なります。高級ホテルや新しいショッピングモール、主要観光地の有料トイレは比較的現代的で清潔な設備が整っていることが多いです。

一方、地方の小さな町や伝統的な市場(スーク)などでは、簡素な造りのトイレが多く、水洗でない場合もあります。また、トイレットペーパーの代わりに水を使う文化があるため、トイレ内に小さな水差しが置かれていることもあります。

清潔度については、観光客向け施設では比較的高い水準が保たれていますが、一般的な公共トイレでは期待値を下げておいた方が良いでしょう。特に混雑する観光シーズンには、清掃が追いつかないこともあります。

トイレットペーパーと水の使用

エジプトでは伝統的にトイレットペーパーではなく水を使用する習慣があります。イスラム文化の影響で、左手で水を使って洗浄するのが一般的です。このため、多くのトイレには水を流すためのホースや水差しが設置されています。

観光客向けの施設ではトイレットペーパーも提供されていますが、常に十分な量があるとは限りません。そのため、旅行者は常に携帯用のポケットティッシュを持ち歩くことをお勧めします。

また、エジプトの下水システムは日本ほど発達していないため、使用済みのトイレットペーパーはトイレに流さず、横に設置されたゴミ箱に捨てるのがマナーです。これは水道管の詰まりを防ぐための重要なルールですので、必ず守るようにしましょう。

エジプト各地域のトイレ事情

カイロ市内のトイレ環境

エジプトの首都カイロは、国内で最も整備されたトイレ環境を持つ地域の一つです。特に新カイロ地区や高級住宅街では、西洋式の近代的なトイレが標準となっています。

カイロ国立博物館やエジプト考古学博物館など主要観光施設には、観光客向けの清潔なトイレが設置されています。また、ナイル川クルーズ船やオペラハウスなどの文化施設でも、比較的良好な設備が整っています。

一方で、旧市街やイスラム地区などの歴史的エリアでは、伝統的なスタイルのトイレが多く、設備が簡素な場合もあります。特に金曜市場(フライデーマーケット)など地元の人で賑わう場所では、トイレの混雑や清掃状態に注意が必要です。

カイロ市内の高級ホテルやショッピングモールのトイレは、観光客にとって安心して利用できる「オアシス」的存在です。特にシティスターズやモールオブエジプトなどの大型商業施設では、日本の標準に近い清潔さが保たれています。

観光地(ルクソール、アスワンなど)のトイレ

エジプト南部の主要観光地であるルクソールとアスワンのトイレ事情は、観光産業の発展に伴い改善されてきました。

ルクソールの王家の谷やカルナック神殿、アスワンのフィラエ神殿など主要遺跡では、観光客向けの有料トイレが設置されています。これらは定期的に清掃されており、係員が常駐していることが多いです。料金は通常3〜5エジプトポンド程度で、トイレットペーパーも提供されます。

ナイル川クルーズ船のトイレは比較的良好な設備が整っていますが、船によって品質にばらつきがあります。5つ星クラスのクルーズ船では、ほぼホテル並みの設備が期待できます。

地方の小さな遺跡や博物館では、基本的な設備のみの簡素なトイレが多いので、訪問前にポケットティッシュや消毒用ハンドジェルなどを準備しておくと安心です。

リゾート地(シャルムエルシェイク、フルガダなど)のトイレ

紅海沿岸のリゾート地であるシャルムエルシェイクやフルガダは、国際的な観光客をターゲットにしているため、トイレ環境も比較的良好です。

リゾートホテルや高級コンドミニアムのトイレは西洋式の最新設備が整っており、清潔さも保たれています。多くのリゾートでは、客室だけでなくプールサイドやビーチエリアにも清潔なトイレが設置されています。

ダイビングセンターやビーチクラブなどのレジャー施設でも、観光客向けの標準的なトイレが利用可能です。ただし、混雑するハイシーズンには清掃が追いつかないこともあるので、利用時間を選ぶことも一つの方法です。

シャルムエルシェイクのナアマベイやフルガダのマリーナなど観光客向けの商業エリアでは、レストランやカフェのトイレを利用するのも良い選択肢です。これらは通常、飲食店の顧客向けですが、少額の飲み物を注文すれば気軽に利用できます。

砂漠地帯や遺跡でのトイレ対策

エジプトの砂漠地帯や遠隔地の遺跡では、トイレ設備が限られているか、まったく存在しない場合もあります。これらの地域を訪れる際は、事前の対策が特に重要です。

サハラ砂漠ツアーや白砂漠ツアーなどでは、ガイドが適切な場所で休憩を取りますが、その多くは野外での用足しとなります。このような状況に備えて、ポケットティッシュ、除菌ウェットティッシュ、小さなシャベル(環境に配慮するため)などを持参すると良いでしょう。

アブシンベル神殿やシワオアシスなど遠隔地の観光スポットでは、基本的な公衆トイレが設置されていることもありますが、設備や清掃状態は期待できません。訪問前に最寄りの町や観光センターでトイレを済ませておくことをお勧めします。

長時間のバスツアーや砂漠サファリに参加する場合は、水分摂取量を調整するなどの自己管理も大切です。ただし、砂漠地域では脱水症状のリスクもあるので、トイレの心配から必要な水分摂取を控えることは避けるべきです。

エジプト旅行者のためのトイレ対策

持っていくべきトイレ用品リスト

エジプト旅行では、以下のトイレ用品を持参することをお勧めします:

  1. ポケットティッシュ(複数パック)- 最も重要なアイテムです
  2. 除菌ウェットティッシュ – トイレの便座を拭いたり、手を清潔に保つために
  3. 携帯用トイレットペーパー – 長期滞在の場合は特に便利
  4. 消毒用ハンドジェル – 水が使えない場所でも手を清潔に保てます
  5. 小銭(エジプトポンド) – 有料トイレでの支払いやチップ用
  6. ジップロック袋 – 使用済みティッシュを入れるため
  7. 携帯用便座カバーまたはシート – 特に衛生面が気になる方向け
  8. トラベル用ビデボトル – 水での洗浄を好む方向け
  9. 女性用排尿器(女性の場合) – 立ったまま排尿できる器具
  10. 防水ポーチ – トイレ用品をまとめて持ち運ぶのに便利

これらのアイテムは日本から持参するか、カイロやその他の主要都市のスーパーマーケットやドラッグストアで購入することもできます。特にポケットティッシュと消毒用ハンドジェルは常に携帯しておくことをお勧めします。

公共トイレを安全に使用するコツ

エジプトの公共トイレを安全かつ快適に使用するためのコツをいくつか紹介します:

まず、可能であれば高級ホテル、ショッピングモール、観光客向けレストランのトイレを利用するのが最も安心です。これらの施設は入場自由で、ロビーやフードコートのトイレを気軽に利用できることが多いです。

公共トイレを使用する際は、入口に立っている係員に適切な料金を支払い、必要に応じて小額のチップを渡すと良いでしょう。これにより、トイレットペーパーの提供や清潔な個室への案内など、より良いサービスを受けられることがあります。

トイレの床は濡れていることが多いので、サンダルではなく底のしっかりした靴を履いて訪れることをお勧めします。また、貴重品はポケットやバッグから取り出して首から下げるタイプのポーチに入れるなど、落下や盗難防止の対策も重要です。

衛生面では、便座に直接座ることを避け、持参した便座カバーやトイレットペーパーを敷くか、しゃがんで使用する方法を検討しましょう。また、使用後は必ず消毒用ハンドジェルで手を清潔にすることを習慣にしてください。

トイレが見つからない時の対処法

エジプト旅行中にトイレが見つからない場合の対処法をいくつか紹介します:

最も確実な方法は、近くのホテルやレストランを探すことです。特に国際チェーンのホテルや観光客向けレストランでは、比較的清潔なトイレが利用できることが多いです。レストランの場合は、飲み物を注文すればトイレを使用できますし、ホテルでもロビーで少し休憩する素振りをすれば、たいていトイレの使用が可能です。

ガソリンスタンドも緊急時のトイレポイントとして覚えておくと良いでしょう。特に国際ブランドのガソリンスタンドは、比較的清潔なトイレを提供していることがあります。

観光地では、チケットオフィスやビジターセンター付近に公衆トイレが設置されていることが多いので、入場前に確認しておくことをお勧めします。

モスクの近くには公衆トイレがあることも多いですが、利用する際は現地の宗教的慣習を尊重し、適切な服装(特に女性は肌の露出を控える)で訪れることが重要です。

最後に、地元の人に尋ねることも有効な方法です。アラビア語で「トイレはどこですか?」を意味する「ファイン アル ハンマーム?」(أين الحمام؟)という基本フレーズを覚えておくと役立ちます。

水質と飲料水の注意点

エジプトの水質は旅行者のトイレ事情に直接影響するため、以下の点に注意が必要です:

エジプトの水道水は地元の人々は飲用していますが、旅行者の消化器系には合わないことが多いため、飲料水としては使用しないことをお勧めします。歯磨きの際も、ミネラルウォーターを使用するのが安全です。

ボトル入りのミネラルウォーターは全国どこでもホテル、レストラン、スーパーマーケット、小さな商店で手に入ります。信頼できるブランドのものを選び、購入時にはキャップのシールが破られていないことを確認しましょう。

氷の入った飲み物や生野菜、皮をむいていない果物の摂取には注意が必要です。これらは現地の水で洗われている可能性が高く、旅行者の下痢(いわゆる「ファラオの呪い」)の原因となることがあります。

長時間の観光やエクスカーションに出かける際は、十分な量のボトル入り飲料水を持参することをお勧めします。特に夏季は脱水症状のリスクが高いので、こまめな水分補給が重要です。

万一、消化器系のトラブルが発生した場合に備えて、整腸剤や下痢止めなどの基本的な薬を持参することも検討してください。これらは現地の薬局でも購入可能ですが、言語の壁があるため事前準備がおすすめです。

まとめ

エジプトのトイレ事情について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきます:

• エジプトの公共トイレは有料であることが多く、1〜5エジプトポンドが相場

• トイレ係員へのチップは義務ではないが、サービス向上につながる慣習

• 観光地やホテル、ショッピングモールのトイレは比較的清潔で使いやすい

• トイレットペーパーは常備されていないことが多いため、ポケットティッシュの携帯が必須

• 使用済みのトイレットペーパーはトイレに流さず、横に設置されたゴミ箱に捨てる

• 伝統的に水による洗浄を好む文化があり、多くのトイレには水差しが設置されている

• カイロやリゾート地では近代的なトイレが多いが、地方や遺跡では簡素な設備が一般的

• 砂漠や遠隔地の遺跡では、トイレ設備が限られているか存在しない場合もある

• ポケットティッシュ、消毒用ハンドジェル、小銭などのトイレ用品の携帯が重要

• ホテルやショッピングモール、観光客向けレストランのトイレを活用するのが賢明

• トイレの床は濡れていることが多いので、底のしっかりした靴での訪問が安全

• 水道水は飲用に適さないため、常にボトル入りミネラルウォーターを利用する

• 氷の入った飲み物や生野菜、皮をむいていない果物の摂取には注意が必要

• アラビア語でトイレを意味する「ハンマーム」という単語を覚えておくと便利

• 消化器系トラブルに備えて、整腸剤や下痢止めなどの基本的な薬の携行を検討

• 紅海リゾートでは比較的良好なトイレ環境が整っている

• モスクの近くには公衆トイレがあることが多いが、適切な服装で訪れることが重要

• 長時間のエクスカーションでは、事前にトイレを済ませておくことが望ましい

• トイレ使用時は貴重品の管理に特に注意が必要

これらの知識を持って、エジプト旅行を快適に楽しんでください。適切な準備と心構えがあれば、トイレ事情が旅の障害になることはありません。歴史的遺産や豊かな文化を存分に堪能しましょう。

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