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複雑なエジプト神話のあらすじがスッキリわかる!!天地創造から死後の世界まで徹底解説!

エジプト
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古代エジプトの壮大な神話の世界へようこそ。数多くの神々が登場し、時に複雑で難解に感じられるエジプト神話ですが、その物語は非常にドラマチックで人間味にあふれ、現代の私たちをも魅了します。しかし、「神様の名前が多すぎて覚えられない」「物語の全体像が掴みにくい」と感じている方も少なくないでしょう。この記事では、そんなエジプト神話の核心となる「あらすじ」を、天地創造の物語から、有名な神々の関係性、太陽神信仰、そして死後の世界に至るまで、順を追って分かりやすく解説していきます。この記事を読み終える頃には、複雑だった神話の全体像がクリアになり、エジプト神話の奥深い魅力をより一層感じられるようになっているはずです。

この記事を読むことでわかること
  • 壮大なエジプト神話がどのように始まったのか、天地創造のあらすじ
  • オシリス、イシス、ホルス、セトなど、物語の中心となる神々の関係性
  • エジプト神話で最も有名な「オシリスとセトの神話」の詳しいあらすじ
  • 世界の秩序を司る「太陽神ラー」の役割と日々の戦いの物語
  • 古代エジプト人が信じた「死者の審判」と楽園「アアルの野」の全貌

壮大なスケールで描かれるエジプト神話の世界のはじまり

無秩序の海「ヌン」から万物が生まれた

エジプト神話における世界の始まりは、完全な無と混沌でした。光も闇もなく、ただ原初の水「ヌン」が静かに広がっているだけの状態です。この混沌の海ヌンから、すべてのものの創造主である最初の神、アトゥムが自らの意志で誕生しました。アトゥムは、まだ形のない世界の中で孤独に存在していましたが、やがて他の存在を渇望するようになります。この渇望こそが、壮大なエジプト神話の創造の物語の第一歩となりました。彼は自らの力で原初の丘「ベンベン」を創り出し、そこに立ち、これから始まる世界創造の計画を練ったとされています。この創造神話は主に太陽信仰の中心地であったヘリオポリスで語られたもので、エジプトには他にも、メンフィスで信仰された創造神プタハが言葉(ロゴス)によって世界を創造したとする神話など、地域によって異なるバリエーションが存在します。

アトゥムが産んだ最初の神々、シュウとテフヌト

原初の丘に立ったアトゥムは、自慰行為によって最初の男女の神を産み出します。それが、大気の神「シュウ」と、湿気の神「テフヌト」です。この二柱の神は、アトゥムから吐き出される形で誕生しました。シュウは空間や空気を、テフヌトは水分や秩序を司る神であり、この世界の物理的な基盤を形成する上で不可欠な存在でした。しかし、生まれたばかりの二柱の神は、父であるアトゥムのもとを離れ、混沌の海ヌンを彷徨ってしまいます。アトゥムは我が子を深く案じ、自らの眼(後の太陽の女神ハトホル、またはセクメトの原型とされる)を捜索に送り出しました。無事に戻った我が子との再会を喜んだアトゥムが流した涙から、人間が生まれたという神話も伝えられています。

大地と天空の誕生、ゲブとヌトの物語

父アトゥムの眼によって無事に見つけ出されたシュウとテフヌトは、やがて結ばれ、新たな二柱の神を産みます。それが大地の神「ゲブ」と天空の神「ヌト」です。この兄妹神は非常に仲が良く、常に固く抱き合っていました。しかし、二人があまりにも密着していたため、世界に空間が生まれませんでした。これを見かねた父シュウは、力づくで二人を引き離します。シュウが天のヌトを押し上げ、地のゲブを押し下げることで、私たちの知る「天」と「地」が創造されたのです。ゲブとヌトの間には大気が生まれ、生命が活動できる空間が確保されました。この神話は、古代エジプト人がどのように世界の構造を理解していたかを示す、象徴的なあらすじと言えるでしょう。引き離された後もヌトは毎夜ゲブのもとへ降り、明け方に再びシュウによって引き上げられると信じられていました。この時ヌトが太陽や星々を飲み込み、そして再び産み出すことで、昼と夜が繰り返されると考えられていたのです。

神々の愛憎渦巻く!?オシリスとイシスの物語

冥界の王オシリスとその弟セトの対立

引き離されたゲブとヌトの間には、さらに四柱の神々が誕生します。長男オシリス、長女イシス、次男セト、次女ネフティスです。長男のオシリスは、父ゲブから地上の王権を受け継ぎ、人々に農耕や法律、文化を教え、エジプトを豊かで平和な国に導きました。彼は知恵と慈愛に満ちた王として、国民から絶大な支持を集めます。妻は実の妹であり、偉大な魔術の女神でもあるイシス。彼女もまたオシリスを支え、善政を敷きました。しかし、このオシリスの成功と名声を妬んでいたのが、弟のセトです。セトは砂漠や嵐、混沌を司る荒々しい性格の神であり、力こそが全てだと信じていました。兄オシリスが持つ、秩序と豊穣に満ちた王の座を常に狙っていたのです。この兄弟間の思想的な対立と嫉妬が、エジプト神話の中でも最も有名な悲劇の始まりとなります。

策略によるオシリスの死とイシスの悲しみ

兄への嫉妬に狂ったセトは、オシリスを殺害するための残忍な計画を立てます。彼は72人の共謀者と共に、オシリスの体の寸法を寸分違わず測って、絢爛豪華な木棺を作らせました。そして盛大な祝宴の席で、「この棺にぴったりと入った者にこれを贈ろう」と提案します。招待客が次々と試しても誰も入れませんでしたが、最後にオシリスが横たわると、その体に見事に一致しました。その瞬間、セトと共謀者たちは棺に素早く蓋をし、外から釘を打ち付け、さらに溶かした鉛を流し込んで完全に密閉してしまいます。そして、その棺をナイル川に投げ込み、遥か遠くの地中海まで流してしまいました。夫の突然の死を嘆き悲しんだ妻イシスは、必死に棺を探す旅に出ます。彼女は長い探索の末、棺がフェニキアのビブロス海岸に流れ着き、聖なる木に取り込まれて宮殿の柱になっていることを突き止めます。イシスは身分を隠して王妃に仕え、その信頼を得ることで、ついに夫の亡骸が納められた柱を譲り受け、エジプトへと持ち帰ることに成功したのです。

ホルスの誕生とセトへの復讐劇

イシスはナイル河畔の湿地帯に夫の亡骸を隠し、蘇生の儀式の準備を進めます。しかし、狩りをしていたセトが偶然にもその棺を発見してしまいます。激怒したセトは、オシリスの遺体を14に切り刻み、エジプト全土にばら撒いてしまいました。イシスは再び絶望の淵に立たされますが、妹のネフティス(セトの妻でありながら姉を助けた)の助けを借りながら、夫のばらばらになった体を探す旅に再び出ます。彼女は偉大な魔術の力を駆使して、魚に食べられたとされる男根を除くすべての肉体を集め、繋ぎ合わせることに成功しました。そして、一時的にオシリスを蘇らせ、その間に彼の子を身ごもります。こうして生まれたのが、隼の頭を持つ天空神ホルスです。オシリスはその後、現世の王ではなく、冥界の王として復活しました。一方、母イシスに守られてたくましく成長したホルスは、父の仇である叔父セトから王位を奪還するため、長きにわたる壮絶な戦いを繰り広げることになります。この親子二代にわたる物語は、単なる復讐譚にとどまりません。ホルスの勝利は混沌を制する秩序の確立を意味し、ファラオが地上におけるホルスの化身とされる思想の根源となりました。神話は、エジプトの王権神授の考え方を裏付ける重要なあらすじとなっているのです。

世界の秩序を司る太陽神ラーの物語

昼の空と夜の冥界を旅する太陽神

オシリス神話と並び、エジプト神話の根幹をなすのが太陽神ラーの信仰です。ラーは隼の頭に太陽円盤を乗せた姿で描かれ、世界の創造主であり、最高神として崇拝されました。古代エジプト人は、太陽が昼間に空を東から西へ横断し、夜には見えなくなる現象を、ラーの壮大な旅として解釈しました。ラーは昼の間、「マンジェトの船」に乗って天空を航行し、地上に光と生命を与えます。そして西の地平線に達すると、今度は「メセケテトの船」に乗り換え、死者の国である冥界(ドゥアト)を旅すると考えられていました。この夜の旅は、死と再生の象徴であり、ラーが毎朝再び東の空に昇ることで、世界の秩序が維持されると信じられていたのです。

混沌の象徴アペプとの終わらない戦い

ラーの夜の旅は、決して平穏なものではありませんでした。冥界には、ラーの航行を妨げようとする数多くの危険が存在しましたが、その最大の敵が、混沌と闇の化身である巨大な蛇「アペプ」です。アペプは毎夜、太陽の船を飲み込み、世界を永遠の闇に閉じ込めようと襲いかかります。ラーは、セトをはじめとする他の神々と共に、このアペプに立ち向かいます。特筆すべきは、ここではオシリスの敵であったセトが、ラーの船の先頭に立ってアペプを打ち倒すという、秩序の守護者として重要な役割を担っている点です。この毎夜繰り返される戦いは、秩序と混沌の永遠の闘争を象徴しています。ラーがアペプに勝利することで夜が明け、新しい一日が始まる。この神話は、古代エジプト人の宇宙観と、日々の再生への強い願いを反映したあらすじと言えるでしょう。

古代エジプトの死生観を映し出す!死後の世界の仕組み

死者の魂の構成要素「バー」と「カー」

古代エジプトの人々は、死は終わりではなく、来世への旅の始まりであると信じていました。彼らは人間の魂が複数の要素で構成されると考えており、特に重要なのが「バー」と「カー」です。「カー」は生命力そのものであり、その人が生きている間に食べたものからエネルギーを得る、いわば分身のような存在でした。死後も供物を必要とするため、墓には食料が供えられました。「バー」は人格や個性を司る魂で、人間の頭を持つ鳥の姿で描かれます。死後、バーは肉体を離れて自由に飛び回ることができますが、夜にはミイラという依り代に戻ってくる必要がありました。このバーが、冥界を旅し、死者の審判を受ける主体となります。

死者の書とは何か?その役割と内容

この来世への旅を無事に乗り越えるための究極のガイドブックが「死者の書」です。これは個人のために作られたパピルスの巻物で、死者と共に埋葬されました。そこには、死者の魂が冥界で待ち受ける様々な危険や試練を回避し、神々の前で無罪を証明するための呪文、祈り、賛歌がびっしりと記されています。例えば、恐ろしい姿をした門番の名前を正確に答えたり、「心臓よ、法廷で私に不利な証言をするな」と自らの心臓に語りかける呪文を唱えたりすることで、困難を乗り越えられるとされていました。この書は、古代エジプトの死生観、倫理観、そして神話の集大成であり、彼らが来世にどれほどの希望を託していたかを物語っています。

心臓の重さを計る「死者の審判」の全貌

旅の最終関門として待ち受けているのが、冥界の王オシリスが主宰する「死者の審判」です。これは「心臓の計量」とも呼ばれます。死者の魂は、ミイラ作りの神アヌビスによってオシリスの法廷へ導かれます。そこで、真理の女神マアトの羽根が乗った天秤の片方の皿に、死者の心臓が置かれます。この心臓には生前の全ての行いが記録されていると考えられていました。もう片方の皿には、真実と正義を象徴する「マアトの羽根」が置かれます。この厳粛な審判の様子は、知恵の神である書記官トトによって詳細に記録されます。生前の行いが正しく、罪がない者の心臓は羽根と釣り合い、楽園アアルの野へ行くことが許されます。しかし、もし心臓が悪行によって重くなっていれば、天秤は傾き、その心臓は怪物アメミット(ワニとライオンとカバを合わせた姿)に食べられてしまいます。これにより魂は二度と再生できない「第二の死」を迎え、永遠に消滅すると信じられていました。この審判のあらすじは、エジプト神話における倫理観と正義の概念を強く反映しています。

【まとめ】

  • エジプト神話の世界は、混沌の海「ヌン」から始まったとされています。
  • 最初の神は、ヘリオポリス神話における創造神アトゥムです。
  • アトゥムは最初の男女神である大気の神シュウと湿気の神テフヌトを産みました。
  • シュウとテフヌトの子が、大地の神ゲブと天空の神ヌトです。
  • 父シュウがゲブとヌトを引き離したことで、天と地が創造されました。
  • ゲブとヌトから、オシリス、イシス、セト、ネフティスの四柱の神が生まれました。
  • 長男オシリスは地上の王となり、妹イシスを妻としました。
  • 弟のセトは、兄オシリスの王位と名声を妬んでいました。
  • セトは策略を用いてオシリスを棺に閉じ込め、ナイル川に流して殺害しました。
  • 妻イシスは長い旅の末にオシリスの亡骸を見つけ出しますが、セトによって遺体はバラバラにされてしまいます。
  • この神話のあらすじは、エジプトにおける王権の正当性を示しています。
  • イシスは魔法の力で夫の遺体を集め、一時的に蘇らせることに成功します。
  • その間にイシスはオシリスの子、ホルスを身ごもりました。
  • オシリスはその後、冥界(ドゥアト)の王として復活を遂げます。
  • 成長したホルスは、父の仇である叔父セトと王位をめぐって長く戦います。
  • 最高神ラーは、昼は天空を、夜は冥界を太陽の船で旅すると考えられていました。
  • ラーは毎夜、混沌の象徴である大蛇アペプと戦い、勝利することで朝を迎えます。
  • 古代エジプト人は魂を「バー」と「カー」などの要素で構成されると考えていました。
  • 死者が来世の楽園「アアルの野」へたどり着くための手引書が「死者の書」です。
  • 死者の魂は、最終的にオシリスの法廷で「死者の審判」を受け、心臓の重さを計られます。

この記事が、古代エジプトの壮大な神話の世界への扉を開く一助となれば幸いです。

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